~着々と進む。でも誰のために~
「熊本地震でうちらのことなんか吹き飛んじゃった」と仮設住宅の自治会長さんも笑っていましたが、福島をめぐる動きは着々と進んでいます。河北新報から最近のものをピックアップしてみます。
しかし、現地の声を耳にしていると、いったい誰のため、何のために行われているのか考えざるをえません。
<原発避難>飯舘村に17年3月末解除伝達
東京電力福島第1原発事故で全村避難する福島県飯舘村について、国の原子力災害現地対策本部は6日、帰還困難区域を除き、帰還に向けた準備宿泊を7月1日に開始し、2017年3月31日に避難指示を解除する方針を村に伝えた。解除対象は1770世帯5917人。村が4月、長泥地区(75世帯268人)を除いて来年3月に避難指示を解除し、長期宿泊の形で準備宿泊を7月に始めるよう国に求めていた。村側から異論は出ず、政府方針通り解除日程が近く正式に決まる見通し。
福島市の仮役場であった村議会全員協議会で、対策本部長の高木陽介経済産業副大臣が「住民説明会や戸別訪問で幅広く意見を伺ってきた」と経緯を説明。菅野典雄村長は「これからが勝負であり、国と協議しながら村を復興させたい」と述べた。
国は今後、住民説明会を開くなどした後、解除時期を月内に正式決定する。
河北新報OnLine 2016年06月07日火曜日
<原発事故>除染土を道路資材に活用、試験へ
環境省は7日、東京電力福島第1原発事故で生じた除染廃棄物に関する有識者検討会を開き、除染土を再利用するための基本方針を示した。放射性物質濃度が基準以下となった土壌を道路整備の盛り土材など公共事業で使い、減量化を図る。福島県南相馬市で本年度内に実証試験を始め、2025年度ごろまでの本格的な再利用を目指す。国は福島県内の除染廃棄物を大熊、双葉両町に建設される中間貯蔵施設で最長30年保管した後、福島県外で最終処分する。最大2200万立方メートル(東京ドーム18個分)と推定される廃棄物を再利用で大幅に減らし、県外最終処分につなげたい考え。
基本方針は大筋で了承された。除染土は放射能濃度別に分離。低濃度の土壌について使途を限定した上で、福島県を含む全国の公共事業で使用する。
土壌を扱う作業員の年間被ばく線量を1ミリシーベルト以下とするため、再利用できる土壌の放射能濃度を1キログラム当たり5000~8000ベクレル以下とする。道路工事に使う場合、住民らの被ばく防止に向け、表面を汚染されていない土で厚く覆う。
南相馬市での実証試験は、市内の除染廃棄物の仮置き場内で実施する計画。約1800トンの土壌を分別し、安全性の確認やコストの算定を進める。
同省は濃度別に土壌を分離する技術開発を進め、他地域でも実証試験を行う方針。井上信治副大臣は「安全性の確認と国民の信頼醸成が重要。再利用に理解をいただきたい」と述べた。
河北新報OnLine 2016年06月08日水曜日